名短篇、ここにあり

 北村薫先生と宮部みゆき先生が編者となったアンソロジー。「小説新潮」の「創刊750号記念名作選」を基に、そこからセレクトした作品集のようです。ミステリーもありますが、非ミステリーの割合が高くなっています。
 作者は、半村良黒井千次小松左京城山三郎吉村昭吉行淳之介山口瞳多岐川恭戸板康二松本清張井上靖円地文子と、ビッグネームが揃っており、非常に豪華です。
 ただ、普段読む機会の多い作家かというと、個人的にはそうでもなく、このような企画で読むことが出来てよかったと感じる一冊です。やっぱり、北村薫宮部みゆきの名前があると読んでしまいます。編者を選んだ企画の勝利でしょう。
 小説も、それぞれに密度が高く、面白いです。さすがに高名な作家ぞろい、読み応えがあります。特に吉村昭の『少女架刑』は圧巻でした。読書経験が不足しているので、ここに収録されている作品が、その作者にとって、代表作なのか、標準作なのか、異色作なのかは、判断できません。すみません。
 巻末では、北村薫先生と宮部みゆき先生が、収録作品について、対談を行っているので、格好の読書ガイドになると思います。

名短篇、ここにあり (ちくま文庫)

名短篇、ここにあり (ちくま文庫)