今月のエレガンスイブ

 女性漫画誌エレガンスイブ2012年8月号より、小坂俊史先生のホラー漫画『怖いのは苦手です。』の感想。GAG TO HORROR シリーズの6人目で、3回連続シリーズ1回目。
 初めて見る雑誌誌ながら、國廣幸亜先生、野中のばら先生、カラスヤサトシ先生がいて、アウェイ感はなし。


『怖いのは苦手です。 #1』 小坂俊史
 テレビのニュース速報に「殺される」女。
 平穏なOL生活と日常が、やがて狂気をまとっていき、訪れる破滅の時。
 4ページ目の「テレビに殺される」が強烈な伏線。そして、5ページ目と6ページ目の反転の構図。意味を180度変えてしまう反転のトリック。そのキレの鋭さは恐ろしいほど。巧妙な記述トリックに引っかかった場合のように、読者も一瞬理解することができません。そして、その直後に訪れる静かな恐怖。さすがは4コマ漫画のオチで鍛えた腕の冴え。
 とても恐ろしいことが起こっているのに、自分一人だけが何が起こっているのかを見ることができないという恐怖のありかた。「テレビに殺される」ことの意味。
 優れたトリックは、優れたギャグと似ています。この作品も「死」がなければ、優れたコメディとして演出することもできたでしょう。